朝日新聞に「覚悟の社会保障」という記事が載っていて、日本で報じられないスウェーデン社会の「厳しさ」を書きたいとある。大いに書いて欲しいが、朝日新聞を含めこれらの話題をほとんど書いてこなかったのはマスコミではなかろうか。社会部および家庭部はバラ色の記事を書き、経済部は一部批判的な記事を書くというのがどこの新聞社にも共通している(と思う)。
スウェーデンは高福祉高負担の例として必ずあげられるが、どの程度まで高負担高福祉なのかもう少し詳しい説明があっても良かった。特に、スウェーデンと日本は両極端であることが多く、この二国のみの比較は誤解を与えることが多い。また制度の違いによる数字の違いはあまり議論されてないが、スウェーデンなどは多くの社会保険給付は課税対象である。この結果、税金として支払う分が社会保障給付率に含まれ、これはおよそGDP比で4%前後に相当するといわれている。これを考慮すれば、29%は25%になる(これは比較の際にはかなり重要なことであるが、日本で話題にされたというのはほとんど聞かない)。
記事の中で触れられている「隠れ失業」は記事に書かれているような単純な問題ではなく、90年代から「就労戦略」との関連で議論がされていた(90年代に傷病休暇日数が急増し、大きな問題となった)。またマッチングも以前から行われていたが、最近行われたのはマッチングの民営化であり、マッチングの効果について大きな疑問が出されている。就労問題のように政治的対立が大きい問題では、一方のみの意見を聞くのは適当ではない。これらの問題自体はほぼ正しいが、高福祉高負担との関連でどの様な分析をしようとしたのか不明である。
なお、社会給付の間違った支払いという問題は話題になったが、記事の中に書かれている「福祉のただ乗り」は何を意味しているのであろうか(これはどの国でも良く話題になるが、もう少し説明が必要である、どの様なことかある程度想像はついているが、「福祉のただ乗り」とは言い切れない)。「税金の誤解」および税制度についてはここを参照。(2010年7月2日記、2011年2月22日追記)